ガーデニングの裏技 ベランダ園芸に向く植物

ベランダ園芸に向く植物

マンションなどのベランダは、実は、普通のお庭や花壇などとは、かなり条件が違う環境です。

まず、上にはひさしがありますし、周囲も開けているのは1方向だけです。

ですから、ベランダでは、直射日光が届きにくくなっていますし、雨もかかりにくくなります。

ですから、ベランダ環境の基本は、日が当りにくく、乾燥しやすい、ということですね。

また、お日様は、季節によって高さが違い、夏は高く、冬は低く通ります。 すなわち、夏はベランダの開放側しか日が当たりませんが、冬はベランダ全体、場合によっては室内の窓際まで日が入ることがあります。

さらに、ベランダはコンクリートでできていますので、夏は暑く焼け、冬は冷たくなります。

それから、マンションなどでは高層階に行くほど、風が強くなります。

逆に、高層階に行くほど、外から飛んでくる虫は少なくなります。 これは害虫だけでなく、それを食べる益虫や鳥も飛んでこないことを意味しており、いったん、ベランダに害虫を持ち込むと、害虫だけがどんどん増えるということがあります。

これらのことを頭に入れていただいて、向きごとにベランダ園芸に向く植物を考えてみましょう。

南向きのベランダに向く植物

南向きなので、ベランダの中では日当たりが確保されますが、夏場は建物側の多くの部分には日が届きません。

また、風が強く乾燥しやすいのも注意すべき点です。 水切れに注意する必要があります。

まず、春咲きの植物ですが、春先は日が当たるので、パンジー、ビオラ、プリムラなどは問題なく栽培可能です。 ただし、宿根性のプリムラなど、夏が苦手な宿根草の夏越しは、ベランダでは苦労します。

チューリップスイセンなどの球根植物も栽培可能ですが、球根を太らせる時期に日が入りにくくなるので、どうしても作落ちしてしまいます。

ベランダ園芸で最適な球根植物は耐陰性のあるフリージアです。 フリージアは乾燥して風通しが良く、あまり寒くならない場所が好きなのでベランダに向いているのです。

宿根草としてはユリオプスデージーが冬から春にかけて咲き続けてくれます。 冬から春に咲くクリスマスローズも意外とベランダで毎年咲いてくれます。

また、春咲きの鉢花類も、夏までは元気にベランダで咲いてくれるでしょう。

花木としてお勧めなのはバラ、それも病害虫に強いハイブリッドティーです。 ハイブリッドティーは、丈夫で生命力旺盛ですし、ある程度の背丈があるので、ベランダでも日光を取り込みやすいのです。 できれば、最前列に出して、たっぷり日光を当ててあげてください。

ベランダでは丈夫なミニバラもOKです。ミニバラは地面から話してスタンドに置きましょう。 サツキやアザレアも水切れに注意すれば栽培可能です。 アザレアの中には耐寒性が低いものもあるので、冬季は室内に取り込むか寒冷紗などで保護してください。

また、ユキヤナギレンギョウなどの、日本の気候に合った春咲きの花木類も毎年、咲かせることができるでしょう。

夏咲きの草花類や球根類は、日当たりの悪いベランダで栽培するのは結構むずかしいです。 水を必要とするアジサイやアヤメなども、水やりが大変ですね。

夏の花としては、水やりを励行できるのであれば、丈夫で耐陰性のある木立性ベゴニアヘメロカリスなどがお勧めです。 意外と丈夫に育つのがユリです。特にオリエンタルハイブリッドは暑さ、寒さに強く、花が豪華なのでお勧めですが、コガネムシが付くことがあるので、毎年、植えかえる必要があります。

本来は秋咲きですが、春にも咲くオキザリスは、丈夫で耐陰性も強く、見事に毎年、咲いてくれます。 ただし、寒さには弱いので、北風の当たらない場所に置く必要があります。

夏のイメージが強いハイビスカスですが、夏はお休みさせて秋から冬にかけて咲かせるのがいいでしょう。 いつもはベランダの日当たりのよい場所に置き、冬は早めに室内に取り込んでください。

菊、とくにポットマムも丈夫なので栽培可能で、毎年咲かせることができます。 ただし、売っているように、きれいにたくさん咲かせるには、摘心を繰り返す必要があります。

冬咲きの植物ではシャコバサボテンがお勧めです。 半日陰と乾燥が好きなシャコバサボテンはベランダに向く植物ですが、真夏は北側の涼しい場所に移動して水やりを少なめにし、適宜、日長管理をして花芽がついたら室内に取り込みます。 詳しくはシャコバサボテンを毎年咲かせる方法をご覧ください。

洋ラン類も、ベランダで育てやすい植物です。 水やり、置き場所、真夏の遮光など栽培技術が必要ですが、日当たりが悪く風通しが良いベランダには洋ランは向いています。

品種にもよりますが、シンビジウム、ミニカトレア、ミニデンファレなどは、毎年、咲かせることができます。

南向きのベランダは、洗濯物や布団を干すのにスペースを使う場合が多いので、植物を置く場所としては、東側や西側の端の方になることもあります。 その場合は、東向きあるいは西向きのベランダの項をご参照ください。

東向きのベランダに向く植物

東向きのベランダは、午前中よく日があたり、夕方の西日は当たらないのが特徴です。 ですから、ベランダの中では、植物の夏越ししやすい場所と言えます。

南向きのベランダに向く植物は、おおむね東向きのベランダでも、よく育ちます。

また、棚を作って風通しを良くし、鉢、鉢土、水やりを工夫すると、丈夫な山野草類も栽培可能になります。

一方、半日しか日が当たらないことが多いので、日光が大好きな草花類は徒長しやすくなります。

西向きのベランダに向く植物

東向きのベランダとは逆に、西向きのベランダは西日が入り、夜温がなかなか下がらないので、夏越しには不向きな場所です。

さらに、場所によっては、冬の北西季節風も吹き込んでくるので、寒さに弱い植物にとっても厳しい場所です。

夏は日が暮れてから、ベランダに打ち水をして温度を下げ、冬には寒冷紗で風避けをするなどの工夫が必要になります。

また、西向きのベランダが最も乾燥しやすいので、水切れにも注意しないといけません。

ある程度の対策を施すことを前提として、ミニバラポットマムユリ(オリエンタルハイブリッド)が栽培可能でしょう。

ユキヤナギなどの日本の気候にあった春咲きの花木も育てることができます。

夏に遮光するか、半日陰に移すことができれば、シンビジウムヘメロカリスオキザリスクリスマスローズなども花を咲かせることができるでしょう。

北向きのベランダに向く植物

北向きのベランダは、直射日光があまり当たりませんし、冬は北風にさらされるので、植物を育てるには良い環境ではありません。

ただし、直射日光が当たらない分、春や秋は鉢花の持ちは良くなります。 育てる場所というよりも、飾る場所と割り切った方がいいかもしれません。

また、真夏に植物を一時的に北向きのベランダに移して避暑をさせることもできます。

この時、西側は西日が当たってコンクリートが焼けるので、できるだけ東側に置きましょう。 しかし、北向きのベランダに置いても、気温が下がるわけではないのですし、日が当たらないので徒長しやすいという欠点もあります。

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