ツバキの品種
ツバキは日本原産の植物で、各地にさまざまな品種群が育成されています。 また、ツバキは種間交雑も可能なので、現在では、さまざまなハイブリッド品種が誕生しています。 今回は、それらの品種群について、ご紹介いたします。京ツバキ
ツバキが園芸品種化したのは平安時代といわれています。 特に、遺伝的な変異の大きなユキツバキが北陸方面から入って、元々の京ツバキと交配され、さまざまな品種が生まれたようです。 あまりに多彩で「京ツバキ」をイメージするのが難しいのですが、華麗に色変わりする五色八重散椿や、
あずき色の地に白覆輪の隠れ磯など、なるほど、京の都の貴族たちが好みそうな品種が多いですよね。
加賀ツバキ
江戸時代に茶の湯が盛んだった関係で茶花に適した一重の落ち着いた花姿の品種が多いですね。 秋咲きで、移り白のラッパ咲きの祐閑寺名月、濃紅の大輪一重の兼六園赤藪などが有名ですね。尾張ツバキ
尾張徳川家の城下町の名古屋を中心に誕生した尾張ツバキも茶花向きの品種が主体です。 早咲きで、一重の筒咲きの小輪から中輪の品種が多いですね。松江ツバキ
北陸から山陰にかけては、自生ツバキの宝庫で、そのため山陰地方にもツバキの品種が多く残っています。 松平氏の居城があった松江は小京都とも呼ばれ、清楚で可憐な一重咲きの名花があります。ユキバタツバキ系
北陸にはユキツバキが自生しているので、ヤブツバキ系の品種とユキツバキの交雑種であるユキバタツバキ系の品種が富山、新潟方面には残っているようです。 雪白唐子や千羽鶴など印象的な花姿の品種があります。
江戸ツバキ
江戸のツバキにも多様な品種が存在しますし、鮮やかで洗練されているところは京ツバキと共通するところがあります。 一重の蝶千鳥、関東月見車、蜀紅、唐子咲きの卜伴、八重で白地に赤の縦絞りの春の台などの
品種があります。
久留米ツバキ
江戸時代に園芸の一大センターになった久留米ではツバキにも力を入れていました。 なかでも八重の蓮華咲きで濃紅白斑の正義（まさよし）はシーボルトがヨーロッパに持ち帰った品種として非常に有名ですね。
現代の交雑種
現代では、品種交雑の技術が進歩して、中国南部からベトナムにかけて自生している金花茶とヤブツバキとの交配種の初黄や黄調、フラバとの交配種のハノイの夜明け、西王母とハイドゥンとの交配種の加賀象嵌など、
ハイブリッド品種が続々と登場しています。
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